どうも。
主宰の松本一歩です。
今回のブログは書いていて思いのほか積年の鬱憤が噴き出てアグレッシブなものになってしまったので、「そういうのは読みたくない」という方はパスしてください。
そして思ったより長いです。
申し訳ありません。
でも書かずにいられません。いつか書きたいと思っていたことです。
今回の公演に向けたクラウドファンディングが昨夜無事に終了しまして、合計305,000円の応援を頂くことが出来ました。
僕本人が一番驚き、もちろん喜び、そしておののいています。
応援誠にありがとうございました。
何はともあれこの皆様から頂いたお金を使って、今回公演を行うことになりました。
「人のお金をあてにして芝居を行うなんていかがなものか」といったご意見も頂きました。
またここだけの話ですが、なまじ全員が同じ養成所出身ということでその看板を使ってカンパを集めているのか、といったことも言われました。
お金が絡むと何かとややこしくなるものです。
集まった305,000円というお金ですが、これを東京で一人暮らしのフリーターが一人で捻出するというのはなかなか大変です。
数ヵ月寝る間も惜しんで遊びも食事もお芝居も我慢してがっつりバイトをしてようやく貯められるくらいではないでしょうか。とにかく一フリーターとしての個人的な皮膚感覚としては305,000円というのはそういう金額です。
もちろん今回だって、その気になればたとえば僕ががっつり何ヵ月かバイトをして資金を準備することも出来た訳です。でもそれは嫌でした。
馬鹿馬鹿しいからです。
バイトを3時間増やすより、その3時間で本を読みたい、舞台・映画が観たい、ワークショップへ参加したい、身体を鍛えたい、稽古がしたい。
甘いと言われればそうかもしれません。
「演劇では食えない」という前提を呑む気があるか、ないかで言えば僕はありません。毛頭ありません。
“演劇では食えないから”「いつ急な仕事が入っても休める」とか「短時間で稼げる」ような都合のいいバイト先を見つけなさい、とか、ノルマのためにチケットを買って貰えるような人脈を日頃から作りなさいといったことを事務所や役者の先輩から言われることがありますが、そうした「コツ」と役者、俳優の本分はまるで関係がないと思います。
チケットを売れるのがいい俳優だとは思いません。それを俳優の商品価値だとも思いません。そのレベルで考える限り、僕は知名度も何もありませんので同世代の三浦春馬さんや岡田将生さんや佐藤健さんといった芸能人の方々に肩を並べられる確率が極端に低くなります。
それに、生活のために演劇と関係のないバイトをするということの欺瞞は、言葉を変えて60年以上前に三好十郎が喝破しています。(青空文庫で読めます。)
田村公人
都市の舞台俳優たち:アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって (リベラ・シリーズ11)
最近ではこんな本も出ました。実在の劇団の活動を追跡した、小劇場の実態調査のような本です。
「演劇では食えないのが当たり前」といった類いの言葉を聞くたびに、とても息苦しい気持ちになります。
「本当にそうか?」と確かめたいという気持ちが常々ありました。
「それは演劇で食えるような仕組みをあなた方が真剣に考えなかったからじゃないんですか?」と。
なんなら「演劇では食えない」と語る大人を見て、僕達の世代にも平気で同じ苦労をさせる気か?と身構えてしまいます。
後へ続く者への為に、道はなるべくならしておくのが先人の務めという見解もあります。
また演劇の養成所でもお金が続かなくて辞める人が多いという話もよく聞きます。
そして無事養成所を卒業したところで到底芝居だけで食えるわけではなく、バイトを続ける訳です。それで30歳辺りで現実に戻って就職して、演劇を辞めてしまう。
大きな劇団にいたとしても出演機会に恵まれず、アルバイトで生計を立てることになる。
いつかそうなると分かっていながら、それでも漠然と売れる日を夢見ている。
そんなのって切なくないですか?
言葉は悪いですが、頭悪くないですか?
「演劇で食う」というともしかしたら語弊があるのかもしれませんが、僕はもっと素朴に演劇を続けたい。舞台に関わり続けたい。俳優としてもっと色んな表現が出来るようになりたい。技術とは何かを気が済むまで考え抜きたい。演劇人として沢山の戯曲を読んで、もっと面白い作品を作り続けたい。そのための仕組みを用意したい。
そう思い余って、今回クラウドファンディングに挑戦しました。
自分のやりたいことを、集まってくれる俳優、演出、スタッフに説明する。そうして人を集めて、今度はクラウドファンディングで応援してくれる人に自分のやりたいことをきちんと説明して、資金を集める。
そうしたら、意外と応援してくれる人もいてくれるということが分かりました。
どうせ誰に頼まれなくても好きだから演劇をやりたい訳です。
やりたいなら、そのための場所くらい自力で用意しようぜ。
そんな思いがまずありました。
作品を作り続けるのに大切なのは場所です。場所さえあれば人はあとから集まります。「平泳ぎ本店」が劇団というソフトよりも劇場というハード志向というのはそういう意味です。人が集まれば稽古ができます。作品も出来ます。
だから平泳ぎ本店としては場所の獲得をかなり早期に狙いにいこうと思っています。
モデルというか憧れにしているのは京都の地点というカンパニーです。(近年の地点の活動に関してはこちらのインタビューに詳しいです。)
なんだか話の収集が付かなくなりかけています。
とにかく、以上のようなことを考えている平泳ぎ本店の第1回公演に305,000円という応援が集まったことが、とても嬉しかったということです。
ここで主宰が何をくどくど書こうとも、劇場で実際に作った作品を観ていただくのが一番手っとり早いと思います。
なので皆様是非、シアタープーまでお越しください。
そう、これが言いたかっただけでした。
ということで何卒よろしくお願いいたします。
平泳ぎ本店第1回公演
『The Dishwashers』
ー吉原豊司訳 『洗い屋稼業』彩流社より
作 Morris Panych
演出 藤代修平
ドラマトゥルク nodding lettuce Co.
上演時間 100min(予定)
【出演】
小川哲也
河野竜平
宍倉直門
福留大史
【STAFF】
舞台監督 藤代修平
舞台美術 乘峯雅寛
小道具協力 辻本直樹(Nichecraft)
照明 浅見拓
音響協力 丸田裕也
宣伝美術 荒船 亮
企画・制作 平泳ぎ本店
票券管理協力 シバイエンジン
地下で皿を洗い続ける男たち。
このままどこへも行けないのか?
【日時】
2015年11月
・22日(日)13:00 ☆プレビュー公演A
・22日(日)18:00 ☆プレビュー公演B
・23日(月・祝)13:00B/18:00A
・24日(火)19:30A
・25日(水)19:30B
・26日(木)14:00B/19:30A
・27日(金)14:00A/19:30B(※ポストトーク(登壇者・鵜山仁さん))
・28日(土)14:00A/19:30B
・29日(日)13:00B/17:30A
(全14回)
ABダブルキャスト。
【A、B】
ドレッスラー 河野、小川
エメット 福留、宍倉
モス 小川、福留
バローズ 宍倉、河野
【チケット料金】
前売り 2500円 当日 3000円
☆プレビュー公演は各500円OFF
前売り2000円 当日2500円
【会場】
新宿 THEATER POO
JR新宿駅 東南口より徒歩3分
0333418992
http://www.poo.co.jp
【ご予約】
以下のアドレスからご予約いただけます。フォームに必要事項をご記入下さい。
http://481engine.com/rsrv/webform.php?sh=2&d=649e6311d3
平泳ぎ本店
https://hiraoyogihonten.com/
【公演情報・内容等のお問い合わせ】
hiraoyogihonten@gmail.com
TEL 090-4099-2941(10:00-18:00)
松本