どうも。平泳ぎ本店です。
人間誰しも、書きたいことを、書けるように書く。(神西清訳 チェーホフ『かもめ』第一幕トリゴーリンの台詞)
好きな台詞です。
ということで開設以来僕が好き勝手に書いていたこのブログですが、このところ「主宰の御託が過ぎる」とのご指摘をしばしば受けるようになりました。(!)
純粋に平泳ぎ本店という団体やモーリス・パニッチさんという作家や、”The Dishwashers”という作品に興味がある人からすると、たしかにこのブログにはほとんどまともな手がかりというか公演情報がありません。
逆に言えば純粋に「平泳ぎ本店”The Dishwashers”」という1個の公演として興味を持ってこのブログへ辿り着く方が少し増えたということでしょうか。
そういう方々に
「平泳ぎ本店は劇団ですか?」
「いえ、本店です。」
とか、滔々と平泳ぎの本質を説くといった受け答えをし続けていては駄目だよなと、少し反省しました。不親切にも程があります。
なのでゆくゆくは主宰の駄文とカンパニーの公演情報はきちんと分けようと思います。
が、今しばらくはこのままで参りますので、(もしよければ)お付き合い頂ければと思います。
さて。
FAQ方式で平泳ぎ本店”The Dishwashers”についての基本情報を整理してみたいと思います。
はい。
Q.”The Dishwashers”の登場人物は何人ですか?
A.4人です。今回の出演者も4人ですが、組み合わせを変えて2パターン、ダブルキャストによる上演を予定しています。
Q.平泳ぎ本店の全員が文学座附属演劇研究所の同期なのですか?
A.主宰、俳優、演出の全員が文学座の研究所の52期研修科の同期です。現在は卒業して、各自それぞれ事務所に所属しています。
Q.出演者へのチケットバック、ギャラはありますか?
A.ありません。その代わりチケットノルマもありません。但し動員がよほど順調であれば微々たる額ですが俳優と演出にギャラを支払おうと考えています。
Q.平泳ぎ本店は劇団ですか?今回参加する人は劇団員ですか?
A.劇団ではありません。本店です。というのは冗談ですが、全員がそれぞれ俳優として事務所に所属しています。その上で「基礎文法を共有した者同士での密な創作、俳優にとっての技術の追求を続ける為の場所と機会を用意する」というのが平泳ぎ本店の一応の主旨です。主宰は松本一歩です。
たとえばNODA MAPの様な演劇企画製作会社がイメージとしては最も近いです。企画ユニットとも言えます。
なので今回参加する人間もいわゆる“劇団員”ということにはなりません。強いて言うなら創立メンバーです。なので今後もし平泳ぎ本店のメンバーを名乗りたい人は名乗り、第2回公演以降も作品に参加したい人は参加するという形です。なるべく同じ顔ぶれで続けたいとは思っていますが、去るものは無理して追いません。(まだ一回目なのでここは正直手探りですが…。)
また将来的にも「劇団」という人の繋がりやソフトというよりは「劇場」というハード、場所に根拠を持てるような展開を考えています。具体的には稽古場、劇場となるような場所の獲得を平泳ぎ本店としては目指しています。
いずれにせよ、「平泳ぎ本店」としては今後末長く作品作りを続ける所存です。
Q.”The Dishwashers”はどんな作品ですか?
A.カナダの劇作家モーリス・パニッチ 氏による高級レストランの地下の食器洗い場が舞台の会話劇です。
カナダ演劇界の異端児とも呼ばれるモーリス・パニッチ氏の作品としては珍しいストレートなメッセージプレイです。
登場人物は4人です。それぞれが現代の世相を映し出す典型としてのキャラクターを付与されています。
ドレッスラー:会社社会で小突き回され、自己正当化に汲々とする哀れで臆病な中間管理職。
エメット:拝金主義で短絡的、即物的な考え方をする若者。
モス:誰からも必要とされず、生きる意味、目的を見失いかけている老人。
バローズ:深い考えもなくバンドの成功にかけて刹那を生きているティーンエイジャー。
作品に通底するのは格差社会、非正規雇用、稀薄な社会関係などの現代の日本にも通じるテーマです。彼らが劇中で抱える不安や語る台詞の一つ一つに、時として「そうだよな、生活ってそういうものだよな」と深く共感を覚えます。
若い平泳ぎ本店での上演にあたっていくらか脚色・変更はありますが、基本的なあらすじは彼らが地下の洗い場で鬱屈とした生活への不満や不安を託つという、ほとんどそれだけです。
Q.なぜ”The Dishwashers”を上演しようと思ったのですか?
A.平泳ぎ本店に集まってくれた男4、5人で出来る作品を、ということで色々探していた時に、演出の藤代がたまたま紀伊國屋書店で見つけたのがこの作品だったからです。モーリス・パニッチ氏の作品の中では珍しいどストレートプレイの会話劇だったので、台詞を大切にする研究所で培った基礎文法を生かせると思いました。あとは登場人物たちが抱える日々の生活の中の葛藤に共感を覚える部分も多く、単純に話として面白いからです。
※結果として登場人物が四人の芝居で俳優が全部で5人だったので、今回は僕が主宰・制作・ドラマトゥルク業務に専念するべく出演を見送ることになりました。
Q.作品の見所は?
戯曲の上では日本人の感覚からは程遠いレベルで、あくまで利己的に振る舞い続ける登場人物同士の織り成す人間模様です。それは観ていてイライラもすれば滑稽でもあり、時にとても悲しくもあります。
上演では何よりダブルキャストなので、異なる役を演じる俳優が見せる演技の幅です。かなり無理をさせています。
また個人的にはNichecraftの辻本さんの小道具が特に楽しみです。
今回の企画そのものの見所としては、団体としての第1回公演にも関わらず新宿のど真ん中でストレートプレイを14ステージ、500人動員を目標とするという制作面の無知ゆえのちょっとした暴挙です。
こんな貼り紙がしてある劇場で、ひたすら真面目にストレートプレイを14ステージ上演します。舞台の周りを掃除していたら怪しげな(というのは本当に怪しげな)グッズがゴロゴロ出てきたりしてびっくりしました。
どんな結末を迎えるのか、我ながら楽しみです。
はい。
といったころでしょうか。
また気がついたところがあったら適宜補足していきたいと思います。
そして公演の詳細です。
平泳ぎ本店第1回公演
『The Dishwashers』
ー吉原豊司訳 『洗い屋稼業』彩流社より
作 Morris Panych
演出 藤代修平
ドラマトゥルク nodding lettuce Co.
上演時間 100min(予定)
【出演】
小川哲也
河野竜平
宍倉直門
福留大史
【STAFF】
舞台監督 藤代修平
舞台美術 乘峯雅寛
小道具協力 辻本直樹(Nichecraft)
照明 浅見拓
音響協力 丸田裕也
宣伝美術 荒船 亮
企画・制作 平泳ぎ本店
票券管理協力 シバイエンジン
地下で皿を洗い続ける男たち。
このままどこへも行けないのか?
【日時】
2015年11月
・22日(日)13:00 ☆プレビュー公演A
・22日(日)18:00 ☆プレビュー公演B
・23日(月・祝)13:00B/18:00A
・24日(火)19:30A
・25日(水)19:30B
・26日(木)14:00B/19:30A
・27日(金)14:00A/19:30B ※終演後ポストトーク有(登壇者・鵜山仁さん)
・28日(土)14:00A/19:30B
・29日(日)13:00B/17:30A
(全14回)
ABダブルキャスト。
【A、B】
ドレッスラー 河野、小川
エメット 福留、宍倉
モス 小川、福留
バローズ 宍倉、河野
【チケット料金】
前売り 2500円 当日 3000円
☆プレビュー公演は各500円OFF
前売り2000円 当日2500円
【会場】
新宿 THEATER POO
JR新宿駅 東南口より徒歩3分
0333418992
http://www.poo.co.jp
平泳ぎ本店
https://hiraoyogihonten.com/
【公演情報・内容等のお問い合わせ】
hiraoyogihonten@gmail.com
TEL 090-4099-2941(10:00-18:00)
平泳ぎ本店 第1回公演
“The Dishwashers”
予約受付中です。
http://481engine.com/rsrv/webform.php?sh=2&d=649e6311d3
クラウドファンディングも無事に目標を達成しました。目標達成後も11/13(金)23:59までは応援を受け付けております。ぜひご一読ください。
https://motion-gallery.net/projects/hiraoyogihonten-1st
松本