先日は劇場での打ち合わせがありました。
午前中に演出家と美術家との舞台美術に関する打ち合わせ。
美術家の方に実際に劇場を見てもらいつつ、どういう空間にしたいのか、上演のイメージや必要な物、客席のことなどについて話し合いました。
そして午後からは今回参加する俳優たちとの打ち合わせ。
公演の概要や稽古スケジュールなどについて、現段階で決まっていることを一通り確認。
なかでも、一番時間を割いたのはお金のことについて。
先日、今回の公演資金を獲得するべくキングオブコントに出場するも、惜しくも1回戦で敗退となった平泳ぎ本店。
優勝賞金の一千万円を獲得できなかったため、今回の公演についても大幅な見直しを迫られることになりました。
だから必死です。
まず今回公演を行うにあたって必要な予算と、それを調達するためには何枚チケットを売らなければならないか、などについてかなり具体的に確認しました。
「○百枚売ってようやく±0、それ以下は赤字」
「実際1人○○枚なんて売れるのか?」
「俺らお互いに知り合いかぶってるぞ!」
「死ぬ気で売ったら何枚売れる?」
などなど。
新刊『都市の舞台俳優たち―アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって―』が検証、東京は小劇場の観劇人口が多いのではなく、チケットノルマを抱えた俳優15,000名が互いに観合っているだけ http://fringe.jp/blog/archives/2015/06/28233107.html @fringejpから
↑最近刊行されたこちらの本でも、チケットノルマに苦しむ若者の実態が詳しく書かれていたりします。
演劇関係者は身につまされることばかり書いてあります。
演劇の公演を行うときには、文化庁などから助成金をとることもありますが、基本的に収入はチケットを売ることによって得られる収入のみです。
なので公演資金を用意する際に「1人ノルマ○○枚!売れなかったら自分で買い取れ!」ということもままあるようです。
しかも今回は平泳ぎ本店にとっては1回目、初めての公演なので元手がありません。
とはいえひとりひとりにノルマを課すのも忍びなく、持ち出しをしようにも皆その実フリーターで生活はカツカツ、ということで、ある別の策を用意するべく、話し合いを進めました。
今回参加してくれるみんなも一応は俳優を名乗っているので、「その実フリーター」と開き直るのもどうかとは思うのですが、たとえば、こんな調査があって、↓
日本芸能実演家団体協議会
【調査研究】2014年度の調査研究報告書を公開
○「第9回 芸能実演家・スタッフの活動と生活実態調査
http://www.geidankyo.or.jp/news/detail20150515.html
これを見ても舞台への出演だけで生活しているような俳優というのは殆どいないというのが分かります。
(アルバイトの是非というのは往々にして俳優同士のお酒の席での地雷だったりします。)
演劇に関わっている以上「演劇では食えない」というのはもう百も承知なのですが、このままではちょっと息苦しい。
どうせだったら本当の意味でのプロになりたい。演劇だけやっていたい。演劇のことだけ考えたい。
そのためには「実際食えるようにするにはどうすればいいのか?」少なくとも「黒字公演を続けるにはどうすればいいのか?」というのを真剣に考えなければいけない。
そしてそれを自分達の出来る範囲でひとつずつ実践していくというのもまた、平泳ぎ本店の大きなミッションだったりします。
果たして平泳ぎ本店にとって、演劇は仕事になるのか?
とにもかくにも、今回の公演が黒字になってくれることを祈るのみです。
劇場にて、打ち合わせる俳優たちと演出家。
目が光ってます。
松本